速度差で上げるサービスエース率
サーブで得点をとることを“サービスエース”といいます。
バレーボールというスポーツではその特性上、チーム連携が当たり前ですが、唯一サーブは完全な個人技です。
その個人の力で得点できるのですから“サービスエース”は得点した本人にとっても鳥肌ものですよね。
そして、チーム全体が盛り上がります。
さて今回はそんな“サービスエース”をとるために、正確に言うと“サービスエース率をあげる”ために、「緩急」をつけるという技術についてご紹介します。
緩急とはゆるやかなことと、急なこと。遅いことと、速いこと。「緩急をつける」
サーブでいう緩急とはサーブスピードの速い,遅いの差をつけることを指しています。
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なぜ緩急をつけるとサービスエースがとれるのか
ヒトの目はスピードに慣れますよね。そして先入観というものが存在します。
例えばあなたがレシーバとして、相手サーブを受けるとします。
2本続けて、速い速度のサーブが打たれたとします。すると、3本目の予測をたてますよね。
サーブスピードに対して間に合うようポジショニングを変えたり、深く構えたりと何かしらの対策を考えます。
スピードへの慣れにより対策をうち、きっと同じようなサーブが打たれるだろうという先入観がここにあるんです。
ヒトは予測できない意外性に弱い生き物ですから、そこへまんまと速い→遅いサーブへ変化させ、レシーバーの裏を欠くことで、サービスエースがとれるんです。
6人制バレーボールの日本代表の試合を見ていても緩急サーブを打っていますよね。
そしてそれでサービスエースをとったり、乱したりしていますので、トップクラスでも効果のある技術なのです。
ワールドカップバレーでは石井優希(いしいゆき)選手が上手く打ってますよね。
本当、パワーだけでなく器用さも兼ね備えた選手です。
「緩急をつける」に向いているサーブスタイル
緩急の効果はその速度差の大きさによると考えることができます。ということはまず、速いサーブが打てることが第一に必要となります。
速いサーブといえば、ジャンプドライブサーブを思い浮かべるかもしれませんが、それだけでなく、ジャンプフローターサーブ,フローターサーブでも(サイドでも)速いサーブを打つことができます。
もちろんドライブ回転だけじゃなく、無回転(ナックル)でも打てます。
そして次に、速いサーブでサービスエースをそこそことれることが挙げられます。
これは速いサーブでとるサービスエースに緩急をつける(遅いサーブを絡める)ことで、連続得点を量産しやすいため、速いサーブはそれだけで得点率に期待できます。
サーブ種類別の緩急のつけ方
正確に言うと、ボール速度の速いサーブから、突然に遅いサーブを打つ方法です。
相手レシーバーの裏を欠くためには、同じフォーム、同じスイング軌道、そして同じリズムで打つことが大切です。
そうでないと、「あれ?違うサーブ打ってきそう。」と警戒されてしまうからです。やはり「また強いサーブがくるぞ!」とこちらのねらい通りに警戒しててほしいものです。
サーブの種類別に、そして難易度別にご紹介します。
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フローターサーブ
難易度
フローターサーブでドライブ回転を打つことは、難易度の割に効果が低いので、ここでは無回転(ナックル)を基本として考えます。
速度の速い無回転(ナックル)を打つためには、ボールの中心を点で捉えて押し込むこと ですが、ここでボールと手の接触面を増やすことで、ボールの速度を落とし、失速させることができます。
普段、手のひらの中心などの一部分でボールの芯を捉えているのであれば、手のひら全体で。もっと失速させたいのであれば、指の腹もボールに接触させます。
接触面が増えた分だけボールの芯へ伝わる力を分散させることができるんです。
難易度
そしてもうひとつの方法です。
もう無回転でもなんでもないですが…それは指先だけをボールに当てて失速させる方法です。
指先で、”打つ”のではなく”押す”といったイメージで、スパイク技術のプッシュと似ています。
狙いはネットの上部(白帯)に乗せるような軌道です。
練習するのであれば実際に乗せる力加減を覚えてください。
本番サーブではネットにボールが当たればファウルですから調整しましょう。
ジャンプフローターサーブ
難易度
基本的な打ち方は、フローターサーブと同じです。
プラスして注意する点は、助走速度を緩めてはいけないことです。
ボールを失速させたい意識が強いと、どうしても助走速度も落ちてしまいます。
助走もいつもどおり行うことを意識しましょう!このサーブでも前述した”指先芯はずし”を使うことができます。
ジャンプサーブ
難易度
ジャンプサーブではその威力と縦方向のカーブをかけるために、ドライブ回転をかけて打ちますので、ここではドライブ回転を基本として考えます。
ボールに手を巻き付けるようにしてドライブ回転をかけますが、巻き付くその瞬間だけスイングを止めます。
するとボールは相手コートへ直進する力が弱まり、ドライブ回転だけが強い状態となるため、手前(ネット際)に失速して落ちます。
強打スパイクとみせてフェイントするタイミングに似ています。
サイドサーブ
難易度
サイドサーブでは肘の動きは固定して、腰と肩の横軌道のスイングで打つために、威力を出しやすいので女性向きですが、逆に突然ネット際に落ちるような遅いサーブを打つのは難しくなってしまいます。
ボールに触れた瞬間に腕を止める止める動作をいれてもボールに力が乗り易いため、敢えてボールの芯を外してあげるといった器用さが求められます。
個人的にはこと緩急のみに視点をあてるのであれば、フローターサーブを練習したほうが近道ではないかと思います。
※ジャンピングフローターサーブの威力を上げる打ちかた!参照
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緩急の効果的な使い方
ゲームのシーンを例にあげてみますと、
- まずはいつもどおり速いサーブを打つ!
ここでは、コート奥へ落ちるような軌道がいいでしょう。
相手に「速く奥を狙ってくる」と思ってもらうことが大切です。
−ここで、得点できたとします。(サービスエースじゃなくてもです)− - 次のサーブを打つ前に相手レシーバーのポジショニングを確認!
相手が「速く奥を狙ってくる」ことを警戒して後ろに下がっているかどうか?すなわち前が空いているかどうかを確認します。
おそらくセッターを除いた3人がレシーブに入っているでしょうけど、全員でなく一人でも下がっていればその前が狙い目となります。
警戒心が強いほど、後ろ気味にポジショニングしています。 - 遅く前に落ちるサーブを打つ!
ここで同じフォームから失速させます。
相手レシーバーは警戒していた分、脚も固まっていて瞬時に反応できないため、腕を伸ばすが届かないといった状況でバランスを崩します。
芸術的に打ててれば、レシーバーは動けずにサービスエースも期待できます。
この@ABが上手くいけば、@から繰り返したり、失速を連続し打ってみたりと、より効果的な選択をしましょう。
“よく見て考える”ことが大切です。
この一連は必ずしも連続である必要はありません。
相手レシーバーが「速く奥を狙ってくる」と警戒している状態であれば、ファーストサーブでも積極的に失速チャレンジしてみましょう。
さいごに
ソフトバレーボールの特性上、このサーブに緩急をつけるというのは効果絶大なんです。
硬バレーボールに比べて大きく,柔らかいため、変化し易いためです。
そして軽いため、失速による落下が速く急激に落ち易い。これを有効利用しない手はないでしょう。
せっかくソフトバレーを楽しんでいるのですから、特性も理解して幅広い技術を身につけてみましょう。