クイックを覚えて“スピードプレーヤー”へ
速攻ともよくいわれる“クイックスパイク”ですが、見ていて気持ちの良い攻撃ですよね。
レシーブしたと思ったら、スパイカーはすぐに助走を始めていて、セッターがトスアップしたと同時にスパイクしているんです。
この速さに相手ブロッカーがついてこれなければ、ノーブロック確定ですので得点チャンスです!
さらにこのプレーは、チームの連携力をアピールすることにも向いているので、強いチームなんだと感じさせます。
今回はそんなスピードプレーの花形である“クイックスパイク”の打ち方と種類についてご紹介します。
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クイックスパイクの基本
クイックスパイクは、パワーよりもスピードを意識して打つスパイクです。
クイックスパイクは、セッターがトスを上げるよりも先に踏みきってジャンプすることが大切です。
- 助走
- 右足を出すと同時にバックスイング(右利きの場合)
- オープンスパイクよりも上体を起こして踏み込み準備(上体を沈めるほど踏み込まないため)
- 次に左足を出して踏み込むときにバックスイングした腕が勢い良く戻る
- 踏み切り
- バックスイングから戻ってきた腕を真上に跳ね上げてジャンプ!このときにセッターにボールが入ろうとしてます。
- コンパクトスイング
- オープンスパイクほど上体を反らない
- ボールがくるのを空中で一瞬待つ(自分が打ちにいくよりも、“ボールがくる”)
- 肩は使わず、肘そして手首のスナップを重視してスパイク
- コース打ち分け
オープンスパイクが3歩助走なのに対して、クイックスパイクでは2歩助走(ときに1歩助走)を基本としてください。
理由としては、レシーブしたボールがセッターに入るよりも先に踏み込むため、3歩助走する時間がない ということが言えます。
※歩数別助走については基礎編:スパイク(アタック)参照
2歩目である左足を強く踏み込んでジャンプします。
ただし、オープンスパイクほど上体を深く沈めません。(スピード重視)
1歩助走であっても踏み込む足は一緒ですよ。右利きの場合は左足で踏み込んでます。
スパイクのためのスイングをコンパクトに行います。
クイックスパイクのやり始めのころはコース打ち分けは意識せずとも良いです。
助走で入った方向に素直に打ち込んでください。
タイミングに慣れてきたら、まずは右利きなら右方向へ、これができたら左方向へ打ってみます。
左方向だけ腰をぐっとまわして身体の向きを変える動作が必要で少し難しいです。
※スパイク(アタック)のコツ −コース打ち分け−参照
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クイック攻撃の種類
クイック攻撃にはアルファベットでA,B,C,Dと区別する4つの攻撃が主流です。
それぞれの違いは、セッターに対しての距離とジャンプする場所の違いとなります。
Aクイック
右利きにとって、一番オーソドックスなクイック攻撃です。
セッター正面側のすぐそばでジャンプします。
セッターにとっても一番トスアップしやすく、スパイカーにとっても右手の位置にすぐボールが届くため簡単です。
セッター正面の近い位置でスパイク=ネットのセンターに近い ため、相手チームにバレバレの場合は2枚ブロックの餌食になりやすいです。
一番簡単なクイックなだけにブロッカーも反応しやすく、ノーブロックで打てるチャンスも少ないです。
いつでも1枚ブロックはあるものと考えておきましょう。
Bクイック
セッター正面側ですが、Aクイックよりもヒト2人分程度離れた場所でジャンプします。
ソフトバレーのコートは狭いですから、Aクイックとオープンの間と考えてもいいです。
セッターから離れた分だけ、ジャンプするタイミングをワンテンポ遅らせる必要があり、ミートについてもタイミングがシビアになりますのでAクイックより難しいです。
またAクイックは右手前にボールが届くと表現しましたが、Bクイックの場合はボールが自分に向かってくる勢いがあるため、ミート率が下がります。ただ、カス当たりだとしても決まればOKです(笑)
トスがしっかり自分までくれば左方向に切り返して打てますが、短い場合は右方向にしか打てません。
Bクイックを打つメリットとしては、相手にバレたとしても1枚ブロックで済む可能性がAクイックよりも高めだからです。(ジャンプする場所の違いですね)
レフトスパイカーがオープンや平行トスを通常としてブロッカーに慣れてもらい、突然のBクイックで中(セッター側)へ切り込んでブロックを振り切ってクロスへ叩き込むのは気持ちいいです。
あと意外な使い方ですが、レフトスパイクの際にスタミナ切れを起こしていたら、実はBクイックの方がタイミング重視なので楽に打てます。私のように体力の無い方にオススメです(笑)
相手ブロッカーに気づかれる前に“勝利”を掴んでください。
Cクイック
Aクイックがセッター正面側であるのに対し、Cクイックは逆側となるセッター背後の近い場所でジャンプします。
こちらは本来左利きにとって、一番オーソドックスなクイック攻撃となります。
タイミングもAクイックと同様です。
セッターにとって気をつけることがあります。
スパイカーが左利きなら自分のすぐ背後,右利きならボール2つ分奥へ流してあげる必要があります。
右利きだとトスが短い場合、ボールへ潜り込むようにしないと打てません。
パワーは不要なので左手で打ってしまうというのもありです。
参考:両利きになる
Dクイック
こちらはBクイックのセッター背後バージョンです。
Cクイックよりもヒト2人分程度離れた場所でジャンプします。
Cクイックとライトオープンの間と考えてもいいです。
セッターにとっても、右利きスパイカーにとっても、このDクイックの難易度が一番高いといえます。
ですが右利きでタイミングピッタリでブロックが遅れた場合は、かなり急角度で叩き込むことが可能です。
AクイックとみせかけてDクイックの場所まで走りこんで片足ジャンプ→スパイク!というのが“ブロード攻撃”です。
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クイックスパイクにありがちなミス
スピード勝負がゆえに、おきやすいミスについて確認しておきましょう。
助走ミス
これは、レシーブに対してスパイカーである自分の反応が遅れるミスです。
踏み込んだら、トスがあがってた…というミスに気をつけましょう。
自らレシーブ、自らクイックという場面もあると思います。
この場合は、レシーブした分反応が遅れますので高めのレシーブを上げて、自分のための時間を確保するといいです。
踏みきりミス
これは“踏み切りで前方に身体が流れないように”と前述していますが、これがうまくできなかった場合のミスです。
スピードを意識してるので、流れたらまずネットに身体が触れます。ネットタッチのファールで即失点です。
“勢いあまってネットにかかる”という…一見、動物的なミスですので恥ずかしいし気をつけましょう(笑)
そしてこのミス…
スパイクする気マンマンでジャンプしたら、トスは自分じゃなかった!ってときもネットにかかりやすいんです。
クイックスパイカーは相手ブロッカーを引っ掛ける“ダミー”としての重要な役割もあります。
スイングまで気合を入れすぎてネットに触るといったパターンです。
盛り下がるので気をつけましょう(笑)
サインミス
クイックスパイクはセッターとの連携なので、サインプレーとなります。
まずセッターがサインを出して、スパイカーがこれを確認するといった行為ですが、このサインを間違う,見落とすといったミスです。
セッターがトスをあげたら、ジャンプしてないとか、違う場所でジャンプしているなどです。
違う場所でジャンプして、ボールだけ静かに飛んでいるというは結構むなしいので気をつけましょう(笑)
クイックスパイクのタイミングは選べる
速攻という言葉ありきで、基本セッターのトスより先にジャンプするといった、もっとも速いタイミングでご紹介しましたが、このタイミングはスパイカーとセッター次第で選べます。
例えばAクイック。前述では“先にジャンプして、空中でボールが届くのを待つ”でしたが、
トスでボールが上がるのと同時にジャンプしてもスパイクすることができます。
このタイミングを遅らせるメリットは、
- 空中で溜める時間が長くなる分、強打できる(ブロックにつかれることありきでパワー勝負)
- ブロッカーを惑わせる
といったことです。色々試してみてください。
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さいごに
テレビ中継などに見る全日本バレーボールですと、やはり女子戦がクイックの勉強にいいです。
男性よりもパワーで劣る女性プレーヤーは、サインプレーでスピードを活かしてのクイックスパイクが多彩です。
男子バレーですと、クイックスパイクであってもブロッカーを打ち抜いてやろうかとするほどのパワーで打ってますし、私のような一般プレーヤーでは参考になりません。パワーも高さも凄すぎて(笑)
バレーボールというスポーツは今も進化し続けています。
クイックスパイクはオープンスパイクよりも、コンビネーションの組み方で多彩な戦術を作れますので、クイックスパイクの打ち方を覚えて、次は色々考えながらコンビネーションプレーを楽しんでみてほしいと思います。